教えて!トリ博士

第3回 畜産先進国は
ヨーロッパ

教えて!トリ博士
[第3回]畜産先進国はヨーロッパ

日本には数多くの

農産物のブランドがあり、

「国産は美味しい」と思いますよね。

鶏肉でも丁寧で高品質なお肉づくりは 得意なニッポン。

でも、歴史をひもとくと 「鶏肉の畜産先進国」は ヨーロッパなのです。

畜産は品種改良がカギ
よい血統をつなぐ「素」を求めて

品種改良は、違う鶏種での掛け合わせで行われます。生物の種間、または品種間の交雑を行うと、その一代雑種(子ども)はしばしば父親・母親よりも体質が強健で発育のよいものが生まれるという遺伝の特徴があり、農作物、家畜の品種改良に利用されています。これが「素(もと)びな」。素牛、素豚などでも使われる言葉です。

「素」によって肉質が違い、生産コストも味も変わります。よい鶏づくりには、よい血統をつなぎ掛け合わせたよい「素びな」がまず必要です。

鶏の品種改良は
どの時代から始まった?

ここで質問です。鶏の品種改良はどの時代から始まったのでしょうか。

答えは③の産業革命以降です。産業革命は18世紀から19世紀、意外と近い時代ですね。
まず、品種改良には世界各地のよい鶏種を入手できなければなりません。そのころ各国の大型汽船による遠洋航海が始まりましたが、冷蔵保存技術がなかった当時は、船員の食糧として生きた鶏が最適でした。その理由は①他の畜種に比べて飼育の場所を取らず、飼育管理が容易。②餌の効率がよく飼料保管庫の場所を取らない。③新鮮な鶏卵を得ることができる。④産卵低下の老鶏は食肉として利用できる。

必然的に、卵をよく産み、味のよい鶏種を選んで船に積み込みました。
産業革命の立役者で世界各地に植民地を持つイギリスには、このようにして貿易船により世界各地から優良肉用鶏が輸入されてきたのです。

イギリスで品種改良(育種)された実例として、名古屋コーチンで知られるコーチン種があります。インドのコーチン港から上海経由でイギリスに。そして育種改良されました。日本にも明治時代に導入され各種コーチンが普及しましたが、その一つ「香川エーコク」は「英国」が由来です。

今に受け継ぐ
ヨーロッパの育種技術

開かれた世界では、イギリスのほかベルギー、オランダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペインなどのヨーロッパで数多くの品種改良が行われる一方、アメリカでもその技術が進み、世界に冠たるブロイラー産業が生まれました。日本もブロイラーの種鶏を輸入して飼育、その一代雑種は「若どり」として市場を席捲しています。しかしブロイラー専用種のオス系「ホワイト・コーニッシュ」メス系「ホワイト・プリマスロック」もイギリス由来の鶏種です。

肉用鶏の育種の先進国はヨーロッパ。そしてこれを受けてブロイラー産業の先進国となったのはアメリカ。また生産性を重んじればブロイラーのアメリカ、味のよさを重視した肉用鶏の先進国はヨーロッパといえるでしょう。フランスには世界屈指の育種会社「ハバード社」もあります。また、ヨーロッパは肉用鶏の飼育方法にもこだわり、イギリスのフリーダムフード、フランスのラベルルージュなど、より自然な育て方を好みます。

赤鶏は、フランス系譜の優良肉用鶏です。

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