教えて!トリ博士

第10回 よい鶏づくり
3カ条
その3「よい管理」
後編

教えて!トリ博士
[第10回]  よい鶏づくり3カ条その3「よい管理」後編

いよいよ最終回です。
飼育管理にとどまらない
「赤鶏の価値に関わる“責任ある管理”」
についてお話しします。

日本赤鶏協会が考える「よい管理」 

第9回でお話ししたように、“よい鶏づくり”に関する「よい管理」の中では、鶏の健やかな成長に関わる環境が大切なことはおわかりでしょう。これはどんな種類の鶏にも同じことが言えます。

ただ、日本赤鶏協会としては、もう一つ大切にしている管理があります。それは「赤鶏の価値を発信すること」。どういうことでしょうか。

今まで繰り返しお話ししてきたことの集大成となりますが、赤鶏の価値を改めて考えてみましょう。

ヨーロッパでは価値を“見える化”

赤鶏はフランス系譜の鶏です(第3回参照)。まずは畜産の先進国フランスに学びましょう。

フランスは、15世紀には農業基盤ができていました。このころにロックフォール村がブルーチーズを村の原産品として村議会で布告したのがAOC(原産地統制呼称)の原点と言われています(成立は1925年)。ちなみにAOCに登録されているのは、かの有名なブレス鶏です。

このような土壌があるフランスでは、1960年代のアメリカのブロイラーインテグレーションのような生産方式(第9回参照)に対して抵抗が生じました。ブロイラー生産を「工業製品」とし、フランスでは「農業製品」にこだわる立場をとったのです。

そうしてできたのが1960年に設立されたラベル・ルージュで、最初のラベル・ルージュは1965年に誕生した「ランドの黄色鶏」です。

現在では品質を保証するラベルとして人々に認知され、スーパーマーケットにたくさんの種類の商品が並び、ラベル・ルージュを選んで購入する消費者も多く、その価値が浸透しています。

フランスに限らずヨーロッパでは、商品を購入する際の基準として、原産地や製造方法、品質を重視する傾向が強くあり、「PDO(※1)」「PGI(※2)」「TSG(※3)」など、ロゴマークによってEUが保護、保証しています。

※1 PDO:原産地呼称保護/品質や特性が、生産された地域と強く結びつく食品や農産物など
※2 PGI:地理的表示保護/品質、評価、その他の特徴が、特定の地域と結びつく食品や農産物など
※3 TSG:伝統的特産品保証/原材料や製法などが伝統的な特産物

いつの間にかできていた
日本の赤鶏史

ひるがえって日本ではどうでしょうか。現在あるのは銘柄鶏とJAS地鶏です。もちろんフランスをはじめとするEUの歴史、また土壌とは比べ物になりません。

それでも、1990年代初頭にグルメ鶏に取り組んでから、平成初期~令和へと、気づけば歴史ができていました。

赤鶏はラベル・ルージュの原則と同じ「長期間の飼育」を大切にしており、1日あたりの増体(デイリーゲイン:第2回参照)が小さいのが特徴。増体を目的に育種改良されたブロイラーとは違い、味の良さを求めて育種改良してきたスロー・グロウス種であり、アニマルウェルフェアの考え方に合致した鶏ですしかし生産者自身がそのことを発信しないと、消費者には伝わりません。

日本赤鶏協会は
赤鶏の価値を発信しつづけます

今、マーケティングの神様と言われるコトラーや、心理学者のマズローによれば、「自己実現」あるいは「自己超越」の時代と言われています。消費者が社会的に配慮ある消費をし、個人の価値観に沿った選択が社会貢献につながる、そんな「自己実現」を達成する生活者も多くいるはずです。

赤鶏が持つ価値の中で「栄養価値」は鶏全体に言えることですが、開発当初の目的である「賞味価値」、そして時代が求めるアニマルウェルフェアに通じる「評価価値」を、赤鶏は持っています。

美味しさを追求してできた赤鶏は、持続可能なスロー・グロウスであることに作り手は誇りを持ち、もっと生活者にその評価価値を伝えていく責任と使命があります。

日本赤鶏協会には「よい雛、よい餌、よい管理」を表したロゴマークがあります。さらに歴史が積み重なったとき、このロゴマークがラベル・ルージュのように、生活者の皆様に認知され、愛されるマークとなるように、私たちは「赤鶏の価値を発信する、よい管理」を続けてまいります。

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